コロナ太りを解消!プラントベースで健康ダイエット
SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが世界的に進む中、食べられるものが捨てられる「食品ロス」問題や、気候変動にともなう「地球環境」問題などへの関心が世界的に高まっています。また、新型コロナウイルス感染症拡大にともない、テレワークやリモートワーク、外出自粛やステイホームにより家で過ごす時間が増えたことで、運動不足やストレスが原因となり、感染とは別に「コロナ太り」も大きな問題となっています。肥満になると、新型コロナ感染症が重症化しやすいという専門家の意見もあり、近年、健康面、環境面に配慮した「Plant-based Diet (プラントベース)=植物性食材中心の食事法」に注目が集まっています。
Plant-based Diet (プラントベース)とは?
「Plant-based Diet(プラントベース)」とは、野菜、果物、全粒穀物、豆(そら豆、いんげん豆、大豆)、ひよこ豆、えんどう豆、 レンズ豆、きのこ、ハーブ、スパイス、及び少量の種子類とナッツなど植物性の素材をベースにした食事のことをいいます。
1980年代、「チャイナ・スタディ」の著者であり、アメリカの栄養学者 T.コリン.キャンベル博士により、Plant-based Diet(プラントベース食)とは「健康のために低脂肪かつ繊維質を多く含む植物由来の食事」と定義されました。
その後、急速な市場拡大を受け、2010年代に入ってからアメリカのPlant Based Foods Associationが、Plant-based Diet(プラントベース食)とは、「野菜、果物、全粒穀物、ナッツ、種子、豆類など植物由来の植物から作られる食事」とより具体的に定義をし、肉類や乳製品の摂取が多いアメリカで、心臓病、動脈硬化、ガンなど生活習慣病の発生率が高いことから、Plant-based Diet(プラントベース)が、健康的な食事法として注目を集めるようになりました。
ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビオティックとの違いは?
「動物性食品や乳製品はNG」など難しい決まりがなく、気軽に楽しみながら日常生活に取り入れることができるPlant-based Diet(プラントベース)ですが、「ヴィーガン」「ベジタリアン」「マクロビオティック」といった食事法とは、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか? ここではそれぞれの違いについて、簡単に説明してみたいと思います。
Vegan(ヴィーガン)
Vegan(ヴィーガン)は、動物の肉や魚(魚介類も含む)・ゼラチンなど動物由来の製品、動物の骨や魚からとっただし汁、卵、乳製品、ハチミツ、白砂糖を一切摂らない「完全菜食主義者」です。
Vegan(ヴィーガン)は、動物の命をいただくということを避けるだけでなく、労働や搾取によって、動物が犠牲になることも避けるため、蜂が労働することによってできるハチミツも食べないのだそうです。 またハチミツは、本来、蜂の食べ物であり、自分たちが生きていくための保存食として、また子どもの餌にするために花の蜜を集めているのであって、人間がハチミツを食べることで、蜂の食料が奪われてしまうという考えからハチミツは避けられているようです。
意外と知られていませんが、Vegan(ヴィーガン)の方が白砂糖を食べない理由は、健康上の問題からではなく、白砂糖を作る工程で「動物の骨」が使用されているためなのだそうです。
また、Vegan(ヴィーガン)の方たちは、動物の命を深く尊重しているため、動物性食品を避けるだけでなく、動物製品(皮製品・シルク・ウール・羊毛油)を身につけることも避けるという点も他とは大きく異なる部分です。
Vegetarian(ベジタリアン)
Vegetarian(ベジタリアン)は、肉を避け、野菜や果物、穀物と豆類、ナッツや種子をメイン食べるという点は共通しているのですが、いくつかの種類に分かれています。
- ・ラクト・ベジタリアン:植物性食品と乳製品は食べる。
・ラクト・オボ・ベジタリアン:植物性食品と乳製品、卵は食べる。
・ペスコ・ベジタリアン(ペスクタリアン):植物性食品と乳製品・卵・魚・魚介類は食べる。
Vegetarian(ベジタリアン)になる理由もさまざまで、宗教上の理由や、健康上の理由で、倫理的な理由、環境保護、食糧問題解決など理由はさまざまです。
Macrobiotic(マクロビオティック)
Macrobiotic(マクロビオティック)は、無農薬・自然農法で栽培された玄米などの穀物や旬の野菜、海藻、豆などを中心に、日本の伝統的な食べ方に沿って、肉、魚、卵、乳製品など動物性食品や精製された食材はなるべく控え、自然と調和を取りながら、環境に合わせてバランスよく食べる食事法のことです。 身土不二・一物全体・陰陽調和の3つの考え方をとても大切にしています。
・身土不二:住んでいる土地のものを食べることで、土地に適した身体になり健康が保てる
・一物全体:皮や根も含め、食べ物を丸ごと食べることで、バランスの取れたエネルギーを自分の身体に取り込むことができる
・陰陽調和:食材や調理法が持つ①陰性(カラダを冷やす作用)と②陽性(カラダを温める作用)の2つのエネルギーを調和することでカラダのバランスを整える
意外と誤解されがちなのですが、マクロビオティックでは、〇〇を食べてはいけないというルールはなく、自分の体調に合わせて食べるものを調整し、陰陽のバランスをとること(中庸)を大切にしています。
Plant-based Diet (プラントベース)=エコ・ダイエット
食べられるものが捨てられる「食品ロス」問題、食べ物の輸送にかかるエネルギーとCO2排出による地球環境問題など、便利さと裏腹に "環境負荷型" のライフスタイルが指摘される今、痩せるため、健康になるためのダイエットではなく、環境負荷を減らし、地球環境の保全のために、私たち自身の生活をスリムに!健康的にしていく「エコロジカルダイエット(=エコ・ダイエット)」が、SDGs時代の新たなダイエットとして注目を集めています。
日本人の魂に宿る「エコロジカル・ダイエット」
もともと日本には、自分の身体と土(大地・自然)が切り離せないことを意味した「身土不二」という考え方があり、神棚や仏壇へのお供えをする習慣、四季折々での行事食、豊穣を願う儀式など、食と農への敬いや「もったいない」という意識がありました。 自然の恵みや、生き物の命をいただくという感謝の気持ちをあらわした「いただきます」という言葉も、日本ならではの表現です。
いただきます
日本では、食事を食べる前に手を合わせて「いただきます」という言葉を使いますが、海外に同じニュアンスの言葉はありません。戦前から戦後にかけて食料不足だった日本で、作物を作る人や、自然や大地がもたらしてくれる恵みに対して、また生き物の命をいただくという感謝の気持ちから、「いただきます」という言葉が使われるようになりました。
もったいない
「もったいない」という言葉は、もともとは仏教の言葉からきており、日本独特の表現です。
「勿体」(もったい)とは、世の中はそれ単独で成り立っているのではなく、すべてものは繋がりあって成り立っているものなのに、そんな存在価値や意義が、ないがしろにされ、あるいは十分に活かされていなくて惜しいという意味が、「もったいない」という言葉になりました。
まだ食べられるものを捨ててしまったり、まだ使えるものを廃棄したり、私たちと繋がりながら生きている「いのち」を粗末にすること、またモノを生かすことをしないことすべてが「もったいない」行為と考えられます。
「もったいない」「いただきます」の復活
私たち日本人は、子供の頃、「ご飯を粗末にするとバチがあたる」とか「お米の中に神様が何人もいる」などさまざまな理由で、食べ物の大切さ、食べ物の "いのち" を粗末にしないことや、食べ物やそれを作ってくれた人への感謝の気持ちを教えられてきました。
世界中がSDGs(持続可能な開発目標)を目標に掲げる今、「もったいない」「いただきます」という日本独自の文化の復活が、エコ・ダイエットにもつながるのではないでしょうか?
「Plant-based Diet (プラントベース)」=環境とカラダにやさしい
Plant-based Diet(プラントベース)を実践する人々は、宗教上の問題、倫理上の問題、動物愛護の立場から動物性食品を控えるのではなく、健康面や環境面を配慮して、植物性食品を中心とした食事法(=Plant-based Diet プラントベース)を取り入れる方が多いのが現状です。
近年は、大手の食品メーカーが、肉、魚、卵、牛乳、チーズ、ヨーグルトなど、動物性食品や乳・乳製品の代替品として、「Plant-based Diet (プラントベース)」の商品を続々と発売し、飲食店でも、植物性のみで作った「Plant-based Diet(プラントベース)」のメニューが取り入れるお店も多くなってきました。モスバーガーなどファーストフード店でも、動物性食材を使わず、穀物と野菜だけで作ったMos Plant-based Green Burger (グリーンバーガー)の販売を始めるなど、健康面だけでなく、環境にも配慮したPlant-based Diet(プラントベース)への関心が高まっています。
「Plant-based Diet(プラントベース)」で健康的に痩せる!
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、外出自粛や飲食店の休業・時短要請が続き、外食する機会が減ったものの、テレワーク・リモートワークによって家にいる時間も増え、運動不足に加え、デリバリーサービスの利用、スーパーやコンビニのお弁当、お惣菜などで食事を済ませることで、栄養バランスも偏り、コロナ太りをしてしまった!という方も多いのではないでしょうか?
環境問題だけでなく、健康的に痩せられる!ということから「Plant-based Diet(プラントベース)」を取り入れ始める方も増えています。
体重増加を防ぎ、健康的に痩せる理由
Plant-based health professionals UK の「なぜPlant-based Diet(プラントベース)は、体重増加を防ぐのに役立つのか?」という記事には、Plant-based Diet(プラントベース)を実践することで、体重増加を防ぎ、健康的に痩せられる理由がいくつか述べられています。
1. エネルギーの過剰摂取を防止
植物性食品を中心とした「Plant-based Diet(プラントベース)」は、動物性食品と比較すると、栄養価は高いが、カロリーが低く、植物性食品に含まれる繊維が満腹感を与え、過剰摂取を防いでくれるため、体重増加を抑えることができます。
2. 食物繊維摂取量の増加
「Plant-based Diet(プラントベース)」では、野菜、果物、全粒穀物、豆類、ナッツ、種子類など植物性の素材を中心としているため、肉や魚など動物性食品と違って、食物繊維の摂取量が大幅に増加します。
食物繊維の摂取が増えることで噛む回数が増え、満腹感が出やすくなるだけでなく、便通を良くし、腸内環境を整える働きもあります。
3. 脂肪の摂取量が減少
脂肪分の多い肉、魚、乳・乳製品など動物性食品に含まれる脂肪の摂取量が減少することで、体脂肪の増加を防ぐことができます。また、「Plant-based Diet(プラントベース)」では、動物性タンパク質の代わりに、大豆ミートや豆、雑穀などを取り入れることで、脂肪の摂取量を減らすことができるだけでなく、食物繊維も同時にとれ、体脂肪の増加を防ぐことができます。
4. 食後のエネルギー消費量の増加
食後のエネルギー消費量は、食事の構成によって違いがあり、低脂肪で「Plant-based(プラントベース)」の食事をとると、食後のエネルギー消費量が大きくなるという研究結果が出ています。
その理由は、食事における脂肪分が細胞内のミトコンドリアの働きに影響を与えるためと言われていますが、動物性食品を中心とした高脂肪の食事は、ミトコンドリアの機能に悪影響を与え、エネルギー消費量を減少させることがわかっています。
5. 食欲ホルモンの調節
脳内の視床下部は、空腹と満腹のコントロールセンターであり、消化管ホルモンは、ブドウ糖代謝、エネルギー調整、満腹感、体重管理などの調節に大きく関わっています。
Physicians Committee for Responsible Medicineによって実施された研究によると、植物性の食材を中心とした食事が、満腹ホルモンのレベルを大きく増大させ、満腹感を大きくすることがわかっています。
「Plant-based Diet(プラントベース)」のメリット
体重増加を防ぎ、健康的に痩せることができる「Plant-based Diet(プラントベース)」には、コロナ太りを解消してくれる以外には、一体どんなメリットがあるのでしょうか?
1. 生活習慣病のリスクを減らす
脂肪分の多い動物性の食品を摂取することで起こりやすくなる肥満、高血圧、動脈硬化、心臓病、ガンなどの生活習慣病にかかるリスクを減らすことができます。また、健康的に適正な体重を保ち、体脂肪率を減らすことも可能です。
植物性の食材を中心に、穀物なども過度に精製せず、野菜も皮ごとホールフードの状態で食べ、食材の持つ栄養素を丸ごといただくことで、エネルギー代謝や脂質代謝を促し、健康的にダイエットすることができるようになります。
2. 地球にもお財布にもやさしい
牛肉1㎏を生産するのに、6~20㎏の穀物が必要と言われており、その穀物を生産するために大量の水が使用されるため、水資源の枯渇問題も今は懸念されています。また、牛のゲップやおならが、CO2の28倍もの温室効果のあるメタンガスを大量に排出しており、問題となっている温室効果ガスの15%を占めると言われています。
これを解決するために、「Plant-based Diet (プラントベース)」など肉の代替品として、大豆から作られた人工肉を生産・消費しようという取り組みが行われています。人工肉は、穀物による牛肉の生産に比べて、水の使用量や温暖化ガスの排出量を約90%近く削減できると言われています。
また、季節外れの野菜は、化学肥料や農薬にも依存しなければならず、環境負荷がかかりますが、旬の穀物や野菜は、美味しいだけでなく、栄養価も高く、値段も手頃なので、健康面だけでなく、環境的にも経済的にもやさしいということになります。
エコで美味しく、地球にもお財布にもやさしい「Plant-based Diet(プラントベース)」をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?